片腕サイボーグ         「評価 C」
環境保護を訴えるモズリー博士は、ターナー財団が行っている環境破壊の数々を公の前に暴き出そうとしていた。それを知ったターナーは彼を暗殺せんと、密かに開発していた改造人間パコ・クエルアックを派遣する。パコは持ち前の戦闘力で付き人たちを殲滅し、ついにモズリー氏と対面する。ところがその時になって、パコの心の奥底に残っていた人間としての良心が目覚め、彼はモズリー氏を殺すことなく姿を眩ませてしまったのである。警察の包囲網を掻い潜ったパコは、故郷アリゾナのモーテルに身を寄せて束の間の平穏な暮らしを送る。だがターナー財団は組織の裏切り者である彼を、FBIは要人暗殺未遂犯である彼を、共に血眼になって探し回っていたのだ…。
「パニック・アリゲーター 悪魔の棲む沼」「死神ジョーズ 戦慄の血しぶき」のセルジオ・マルチーノ監督によるマカロニSF映画。パコは全身の七割が機械化されているサイボーグという設定だが、銃弾も平気なボディと常人離れの怪力を持っている以外は取り立ててメカらしい要素を持たず、機械部分を露出させることも殆ど無い。また序盤でパコが人間の感情を取り戻すのは唐突すぎる印象だし、アリゾナに逃亡した後はトラック野郎たちと腕相撲をするなんて「オーバー・ザ・トップ」みたいな話が続くし、作品の前半はあまり楽しむことができなかった。しかしラスト30分、財団がいよいよパコの居場所を突き止めてからは、映画は休む間もなく戦闘シーンが訪れるノンストップアクションへと変貌するのだ。女サイボーグとの肉弾戦からヘリに乗ったターナーとの銃撃戦、そしてレーザーガンを装備した財団私兵との戦いと、それまでの退屈さが嘘のような盛り上がりぶり。特に最初に襲撃してくる女サイボーグの存在感は凄まじく、表皮が剥げて鉄のボディを露出させるわ、目を赤く光らせるわ、生首状態になって「あんた達は逃げられない」と捨て台詞を吐くわと、完全にパコを食ってしまう活躍を見せていたのである。
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