バスケットケース2        「評価 B」
前作で重傷を負った双子の兄弟・ベリアルとドゥエインは、病院に運び込まれて治療を受けていた。しかし二人が殺人鬼だということは既にマスコミに知られており、このままでは未来は無い。そこで医師を惨殺して病院を脱走した二人だったが、そんな彼らの前にルースと名乗る老婆が現れた。彼女は孫のスーザンと共にフリークスの地位を向上させようと運動を続けており、その家には何人ものフリークスが匿われているらしい。そうと知った二人は彼女の家に滞在することを決め、ドゥエインはスーザンと、ベリアルは同じ形状のフリークスであるイヴと仲良くなり、それぞれ幸せな日々を過ごしていた。ところがある日、ルースの家を訪れた女性記者マーシーにドゥエインの姿を目撃されてしまう。平和を脅かされたベリアルとドゥエインは、仲間のフリークスたちと協力し、自分達の秘密を守るべく立ち上がった…。
フランク・ヘネンロッターが制作した奇形人間ホラー「バスケットケース」の続編。前作のヒットを受けて予算がアップし、本作ではベリアルの造形がより精巧になった他、特殊メイクによるフリークスたちが大挙して出演するように。これによってフリークスたちの食事会やベリアルとイヴの情事といった刺激的映像は増したものの、仲間が増えたことでベリアルの奇形人間としての哀愁が完全に打ち消され、悩み苦しむのがドゥエイン一人だけになっていたのは戴けなかった。
人間としての幸せを願っていたドゥエインは、ベリアルと協力して殺人を繰り返していたことが知られてしまったために、社会に入り込むのが不可能となってしまう。一方のベリアルはかつてドゥエインの手元から全てを奪っておきながら、今ではフリークスたちと仲良くなり、ドゥエインが手にできなかった幸せな生活を送っているのだ。それでもドゥエインはスーザンと仲良くなって自分なりの幸せを掴もうとするが、彼女の秘密を知ってしまった時、彼はとうとうベリアルに対しての嫉妬を爆発させる──。
今回のシチュエーションから察するに、この映画においてヘネンロッター監督は、「人間社会の中のフリークス」を描いた前作とは対照的に、「フリークス集団の中の人間」を描こうとしたと推測される。しかし本作は残念なことに、それが成功したとは言い難かった。フリークスたちの見せ場を増やしたおかげで、前作の見所だった人間ドラマは希薄になり、ラストでドゥエインが壮大な決断を下すシーンもカタルシスに欠けたものとなっていたのである。
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