バイオロイド 恐怖の生体実験   「評価 D」
ピーター・ハウスマンは、細胞の遺伝子を操作することで老い朽ちることの無い肉体を作り出そうと、研究を日夜行っていた。しかしなかなか成果を出すことができず、やがて支援者達からは助成金を打ち切ろうという話が出始める。おまけに自分の研究が横取りされるおそれがあることも発覚し、彼の焦りは最高潮に達したのである。そこでピーターは最後の手段として、自らを実験体にして理論を完成させることにした。遺伝子を変異させる血清を体内に注入するピーター。すると身体には特に悪い症状が現れず、実験は成功したかに見えた。ところがその後、徐々に彼の身に不可解な変異が生じ始めた。急に暴力を振るい出したり、体温が低下したり、失語症にかかったり。血清は確かに不死の肉体を作り出したが、同時に彼の遺伝子に退化を引き起こしたのである…。
「片腕サイボーグ」「アクエリアス」など、数多くのマカロニ映画の脚本を手掛けてきたジョージ・イーストマンによるSFホラー。血清によってピーターが豹変する姿は、意外にも霊長類ではなく爬虫類系。皮膚にシワが増え、ひび割れていくまでの段階はリアル志向なメイクで表現されているものの、終盤に登場するトカゲと人間が一体化したような姿は途端にチープな着ぐるみになっていて拍子抜けさせられる。またストーリー展開も歯切れが悪く、ピーターが人体実験を決意するまでの過程が非常に冗長に感じられる上、ピーターが怪物化した後も追跡戦が延々と続き、怪物となったピーターの活躍を殆ど拝むことができなかった。けれどもラストのオチはなかなかに衝撃的。あの「怪奇! 吸血人間スネーク」を彷彿とさせるものであるにもかかわらず、見せ方が上手かったので素直に驚きを味わうことができたのだ。
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