プレスリーvsミイラ男    「評価 C」
プレスリーは生きていた! 若い頃、密かにそっくりさんと交換生活を送ることにした彼は、今も尚そっくりさんの名を借りて、南部の老人ホームで静かに余生を送っていたのだ。ところが最近になって、ホームの老人たちが次々変死するという異常事態が発生していた。友人の自称ケネディ元大統領が言うには、これはエジプトから運ばれてきたミイラの仕業であり、このままでは自分達もいずれミイラに魂を喰われてしまうらしい。そこでプレスリーと自称ケネディは互いに武装し、ミイラの魔の手から我が身を守ろうとするが…。
ヨボヨボのプレスリーがエジプトのミイラと対決する、「宇宙からのツタンカーメン」級にイカれたコンセプトのホラー映画。要はプレスリーのそっくりさんである老人俳優(でもあまり似てないが)を主演に据えているわけだが、この映画がすごいのはプレスリーのそっくりさんを起用しておきながら、そのプレスリーに過去の栄光を否定させてしまっているところだ。本作のプレスリーは、人気絶頂の頃の自分に対してネガティブな視点であり続ける。取り巻きだった者たちを軽蔑していたり、昔の主演作から目を逸らしたりと、その頃の自分を決して誇りに思おうとはしない。だからこそプレスリーは平凡なそっくりさんとして生きる道を選び、ミイラ男と戦うことで本来憧れていたヒーローになろうとするわけだが、いくら設定のためとは言え、ここまでスターとしてのプレスリーを真正面から否定してしまうとは恐ろしい限りである。
さて本作、そんなコンセプトはブッ飛んでいたものの、肝心の内容の方は今一つだった。やたら人間臭いプレスリーと、ミイラ関連の荒唐無稽な話とが上手く噛み合っておらず、作品全体にどっちつかずの微妙な雰囲気を漂わせていたのだ。また全ての戦闘シーンが真夜中で、登場するクリーチャーたちの造形が良く分からなかったのもモンスター好きとしては不満に感じられた。
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