ウォーター・パニック in L.A.  「評価 B」
ある真夏の日、ロスアンゼルス中を衝撃的なニュースが駆け巡った。近郊のダムに生物兵器が投げ込まれ、市内全域の水道水が汚染されたというのだ。飲用としてのみならず、生活のあらゆる場面で必需品となっている水。それが全く使い物にならなくなったのだから、たちまち市内は水を求める住民たちによって混乱状態に陥った。パニックを鎮めようとする米軍兵。街を彷徨う若者たち。暴徒の襲撃を懸命に回避しようとするインド系アメリカンの人々。彼らは危機的状況下で互いに傷つけあい、そして一つの悲劇に直面することとなる…。
水が汚染された状況下での人々の衝突を綴ったパニック映画。インディーズ映画ということで派手な見せ場こそ無いものの、災害を徹底して民衆からの視線で描くことで一風変わった味わいの作品として仕上げていた。この映画では、事件を起こした人物にも、事件を解決した人物にも、大きなスポットライトが当たることはない。主として描かれるのは事件にあたふたする者たちの姿であり、軍に属する人間も任務を放棄して町に繰り出すような、真相究明とは程遠い人物にばかり焦点が当てられるのだ。この映画はそんな彼らが衝突を繰り返しながら一つの事件に収束していく過程に見ごたえが感じられたが、メインとして扱われる3つのエピソードの内、しっかりと人物関係が掘り下げられていたのがインド系アメリカンたちのエピソードだけなのは残念だった。
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