ブレイン・ダメージ       「評価 B」
都会の一角の安アパート。ブライアンが悪夢から目を覚ますと、背中に奇怪な生物が取り付いていた。エルマーと名乗るその生物は人間の脳に青い液体を注入することでハッピーな幻覚を見せることができ、エルマーは新鮮な水を提供してくれればブライアンを幸せにすると言ってきた。初めは半信半疑だったブライアンだが、いざエルマーに液体を注入されてみると、何もかもが色とりどりに輝いて見える不思議な感覚の虜となり、すっかりエルマーのことを気にいったのだ。そして段々とエルマーの幻覚に没頭するブライアンだったが、ある時ふと我に返ると、自分の下着が血まみれになっているのに気づいた。実はエルマーはブライアンに幻覚を見せている間、人間を襲っては好物の脳味噌を食い散らかしていたのである…。
カルト映画「バスケット・ケース」のフランク・ヘネンロッター監督による寄生生物ホラー。エルマーは男のイチモツを模したデザインといい人を食ったような台詞回しといい、ユーモラスな味わいのあるキャラだが、それとは対照的にストーリーは辛辣そのものだ。恋人や弟と幸せな毎日を送っていたブライアンが、エルマーに魅入られたせいで周囲から孤立し、地下クラブで女を引っ掛け、挙句に何人もの人を殺すに至る。エルマーと決別しようとしても既に幻覚から抜け出すことはできず、嘔吐を繰り返しながら、耳から脳味噌を引きずり出すイメージに苛まれ、結局は元の木阿弥になってしまうのだ。その凋落ぶりはさながらドラック患者のそれであり、気付いたら恋人は弟とデキていたところも含め、何とも言えぬ哀愁を漂わせていたのである。エルマーについての説明過程が冗長、エルマーとの決着がアッサリ付いてしまうなど、ストーリー上の難点は結構あるが、作品全体に満ちている過酷な雰囲気は見ごたえがあった。
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