ロボ・ジョックス       「評価 C」
核戦争によって荒廃した未来。世界では一切の戦争が禁止され、その代わりに領土問題などの揉め事は、巨大ロボット同士による10対10のガチンコ勝負で決めることとなった。そして核戦争から50年後、シベリアの巨大格闘場ではアメリカとソ連の二大大国がアラスカの大地を巡って死闘を繰り広げていた。勝負はいよいよ佳境に入り、ソ連のアレキサンダーが操縦するボバレフスキー号と、アメリカのアキリスが操縦するマツモト14号との一騎討ちが開始された。両者とも互角の戦いだったものの、ある時ボバレフスキー号が放ったロケットパンチが軌道を失い、観客席の方へと飛んでいった。すかさずマツモト14号が観客席の前に躍り出てロケットパンチを受け止めようとするが、結局マツモト14号はその衝撃に耐えられずに後方に倒れ、多くの観客を下敷きにしてしまったのである。この事故で試合は中断され、後日再試合が行われることが決まった。アキリスは観客を死なせたことのショックからしばらく立ち直れずにいたが、やがて再び戦う意志を固め、アレキサンダーの待つ闘技場へと向かった…。
低予算ホラー専門のはずのエンパイア・ピクチャーズが、珍しく巨額の予算を投じて制作したロボットバトル映画。モデルアニメーションによる巨大ロボットの戦闘は、ミサイルやレーザーの応酬からチェーンソーやピストンパンチによる格闘戦まで存分に見せてくれる。おまけにクライマックスの対決では、宇宙空間でのバトルや巨大ロボットと生身の人間の攻防なんてシチュエーションまで用意されており、ロボットを使った見せ場をできる限り盛り込んでやるという製作側の意気込みが窺えた。
しかしこの映画、脚本はボロボロだ。アキリスとアレキサンダーの勝負馬鹿な性格が上手く表現できていないので二人が単なる馬鹿にしか見えなくなっているし、アキリスが再起を決意する過程も描写不足でカタルシスに欠けた。それでもロボットのバトルに興奮できたら問題無いのだが、困ったことに本作、そんな脚本の粗雑さが戦闘シーンを盛り下げる要因として働いているのだ。おかげで折角のメカ描写も素直に楽しむことが出来ず、実にもったいない作品だった。
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