テキサス・チェーンキラー ビギニング 「評価 D」
テキサス西部に存在する農場、ホーボーケン・ホロウ。そこではヒッチハイカーを連れてきては過酷な労働を強制し、用済みになったら人肉ベーコンにして食べてしまうという鬼畜の行いがなされていた。ベトナム帰還兵のトレヴァーもまた、ヒッチハイクしたつもりがこの農場へと連れて来られ、壮絶なリンチを受けた末に納屋の中へと監禁された。そして他の作業員同様に死ぬまで労働させられるのかと思いきや、警察に買収されたコネリー作業長の計らいによって、彼はある晩脱走のチャンスを与えられる…。
テキサスの狂人一家の恐怖を綴った内容なので、少なくとも「ミシガン・チェーンキラー」よりは邦題に無理が感じられない作品(でも「ビギニング」なんて付いてある辺りが兇悪)。本作で農場を経営しているブロデリック一家は、容姿や所業にはそれほどインパクトが感じられなかったものの、唯一死体処理の仕方は素晴らしかった。肉をベーコンに、血を猫の飲み水に(!?)、余った箇所を豚の餌に──と、全てを余す所なく有効活用していたのだ。これで本家さながらに骨の家具まで出てきたら完璧だったが、ともかくその生活の知恵には脱帽するばかりである。
でもストーリー展開が冗漫で、主人公のトレヴァーが農場に来るまでの間に、映画の半分近くを費やしていたのはいただけない。殺害描写は殆どがぼかした形で表現されるので拍子抜けだし、山場となる脱走劇も何ら大きな障害が無く終わるのでガクッときてしまう。そしてトドメには後味の悪いラストを吹き飛ばすかのように、エンドロール時に「地獄のモーテル」ばりの陽気なカントリーが流れるのである。ホラー映画としてはあまり誉められたものではない作品だった。
(それにしても、ジェイソン・コネリーの代表作は未だに「スパイメーカー」なんだなあ)
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