バイオ・スピーシーズ 新生命体誕生 「評価 D」
スペースシャトルが爆発事故を起こし、ジョージア州の森林地帯に墜落した。シャトルには細菌兵器の入ったカプセルが積まれており、早速ウォルター隊長率いる特殊部隊がカプセルを回収するために森へと向かった。ところが墜落地点に来てみると、カプセルには亀裂が入っており、ウォルターが細菌に感染してしまった。するとウォルターの体は徐々に異形の姿へと変貌していき、理性を失った彼は部下の隊員たちを次々と殺害し始めたのだ。唯一生き残ったトロッターは地元の住民と協力して、醜悪な怪物と化したウォルターと対決する意志を固めるが…。
「サイボーグ刑事」シリーズのデヴィッド・A・プライアー監督によるSFモンスター映画。森林内での特殊部隊と怪物との戦いと、「プレデター」の影響をモロに受けたような内容で、特徴といえばウォルターが人間から変身したモンスターである点。本作ではウォルターの変貌する過程を、指先の溶解に伴って聴覚や嗅覚といった感覚が鋭くなり、それから全身が醜い容姿に変わっていく──と幾つかの段階に分けて綴っている。また怪物に変わって理性を失った後も、地雷や時限爆弾などのトラップを難なく回避することで軍人らしさを発揮し、一層元人間であることを強調していた。これらの積み重ねがあったからこそ、ウォルターが散り際に軍人としての矜持を垣間見せたのが、より印象深く感じられたのである。
しかし肝心の戦闘描写が壊滅的に弱く、まるで盛り上がらなかったのは困りもの。トロッターは特殊部隊とは思えない迂闊な行動が目立つし、映画後半は夜の森が舞台なので何が起こっているのか暗くてよく分からない場面がざらにあるし、時折挟まれる上層部のダラダラした会話が緊張感を遮っている。間違ってもコマンドアクションを期待してはいけない作品だ。
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