ケンタウロス 宇宙からの脱出  「評価 B」
21世紀の未来。スタントンたち宇宙船のクルーは、核廃棄物を宇宙のゴミ捨て場に運ぶために長い航行に出ていた。ところが途中で原因不明のトラブルが発生し、船のシステムの大半がダウン。おまけに燃料も殆どが外に漏れてしまい、最早地球に帰還することすら難しくなったのだ。補助タンクを改造したシャトルに乗れば二年ほどで帰還することも可能だが、シャトルに乗れるのは一人が限界。そこでクルーたちは全員でクジを引いたところ、最高齢のタブスがシャトルに乗る人物として選ばれた。ところがいざシャトルを発射させる日になって、タブスは水槽から逃げ出した宇宙生物に襲われて命を落としてしまう。すると他のクルーたちは自分がシャトルに乗るべきだと主張し出し、船内で凄絶なバトルロワイアルを開始した…。
「ダイナソー・ファイター カンフーVS巨大恐竜」「アース・トゥルーパーズ 地球防衛軍VS巨大蟻軍団」のデヴィッド・ヒューイが89年に制作したSFサスペンス。序盤こそ登場人物たちのユーモアに欠ける掛け合いが延々と続いたり、やたら長い夢のシーンが唐突に挿入されたりで、「ああ、やっぱりデヴィット・ヒューイは昔からこんな人だったんだなあ」なんて思って観ていたが、クジ引きの辺りから映画は急に面白くなってくる。自分の死を実感したクルーたちが生存を賭けてあの手この手で周りを出し抜こうとし、それまで緩い雰囲気が漂っていた船内が、あらゆる策謀が交錯する緊迫の空間へと一変するのだ。彼らの決死のやり取りはクライマックスまでほぼノンストップ状態で進行し、それに決着がついた後のラストシーンも冗長にならない程度に上手くまとめられていた。最近のデヴィット・ヒューイ作品しか知らなかった者としては激しいカルチャー・ショックを覚えずにはいられない、なかなかに良くできたサスペンス映画だった。
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