透明人間と蝿男 「評価 C」
大東京を襲った謎の連続殺人事件。犯人は密室の旅客機内や白昼の街中、果てには警官の目の前でも難なく殺人を犯し、人々を嘲笑うかのように姿を消していく。そして殺害現場に残るのは、微かな蝿の羽音のみ。捜査官の若林は被害者たちの共通点を探ったところ、彼らの殆どが戦時中、同じ研究所に配属されていたことが明らかになった。実は彼らの開発していたものこそが、人間を小さな蝿男に変えてしまう奇薬だったのだ。犯人の楠木は自分に罪を着せた元同僚達に復讐するため、薬で仲間を蝿男に変えていたのである。一方その頃、若林の友人の月岡博士は物質を透明化させる光線装置を開発し、事件解決のため自らに光線を照射した…。
東宝の変身人間シリーズの向こうを張って製作された、大映のSFサスペンス。「蝿男の恐怖」より一年早い作品のためか、登場する蝿男は蝿と人間が融合した馴染み深いデザインではなく、まんま小人といった外見をしている。羽が無いのに羽音を立てて空を飛ぶのには首を傾げてしまうが、「宇宙人東京に現わる」や円谷特撮でお馴染みの的場徹が特殊技術を手掛けていることもあり、蝿男が建物や町の中を動き回る合成シーンはなかなか見応えがあった。
しかし特撮の良さに反して演出や構成に鋭さがなく、何が起こっているのかよく分からない場面や、妙に間延びしている場面が多々あるのは気になった。特に決着後のラストシーンは随分とダラダラとしていて余韻が削がれてならなかった。
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