地獄の変異 「評価 B」
ルーマニアのカルパティア山脈にて、ニコライ博士は巨大な地下水脈を発見する。早速その実態を調べるために潜水夫のジャックたちと共に探検に出発したが、その矢先に発生した事故のせいで彼らは地底の奥深くに閉じ込められてしまった。暗闇の中、何とか脱出しようと策を練る一同。ところがそこは寄生生物によって地上とは異なる生態系が築かれた未知なる空間で、サソリの大群が、異形のウナギが、残忍な地底人たちが、次々と現れては彼らの行く手を阻む。果たして彼らは無事に生還することができるのか…。
元々は真っ当な洞窟探険映画を作る予定だったのが、諸般の事情によりクリーチャーたちを出演させることになったパニック・アドベンチャー。よって「ザ・テンタクルズ」や「スタッグ」といった他の洞窟モンスター映画とは違って探検の要素が非常に重視されており、本格ロケ撮影による洞窟内部のシーンは実に見ごたえのあるものになっていた(もちろん予算の差も大きいが)。特に鍾乳石の並び立つ水中を撮影した場面はこの上ない美しさで、洞窟探検の醍醐味を存分に味わわせてくれたのだ。
とは言え怪物たちも御座なりにされているわけではなく、巨大モグラを筆頭に様々なバリエーションの地底生物が次から次から出てきてモンスター好きの心を鷲掴み。中でもメインとして登場するのがコウモリのような翼を生やした地底人たちで、シャープな頭部に筋肉質の上半身、そして鋭い牙と爪を持ち、上空からグライダーのように飛んできては獲物に喰らいつく。先に呼吸装置を破壊してから獲物をいたぶるなんて狡猾さを見せるのもまた魅力的だった。
ただ惜しいのは、寄生生物を絡めたストーリーが上手く運んでいなかった点だ。折角「寄生生物に憑依されて苦しむジャック」なんて美味しい展開を用意しておきながら、オチがあれでは物足りない。これでクライマックスでジャックが変身して地底人たちと戦ってくれたのなら文句なしだったのだが。
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