ウォッチャーズ 第3生命体     「評価 C」
ある晩、森の奥深くに存在するバノダイン研究所が爆発事故を起こし、二匹の実験動物オックスカム7とGH3が脱走した。秘密計画の産物である彼らを野放しにしておくわけにはいかないと、政府はジョンソン少佐に彼らの追跡を行わせることにした。一方その頃、ガールフレンドの家からの帰途についていた青年トラビスは、一匹のレトリバー犬を拾った。その犬は非常に賢く、人間の言葉を全て理解してしまうので、トラビスは彼のことを気に入って家で飼うことを決めた。だが直後、ガールフレンドの家には謎の怪物が侵入し、彼女の父親は無残にも殺されてしまったのである。その後も町では怪物の仕業と思われる事件が続発し、それを知ったジョンソン少佐は二匹の実験生物がこの町に来ていることを確信した。何故なら怪物の正体と思われる実験生物オックスカム7は、高度な知能を誇る改造犬GH3を追いかけるようにプログラムされていたのだ…。
ディーン・R・クーンツの原作をロジャー・コーマンが映画化した、「ウォッチャーズ」三部作の第一弾。私は今まで、本シリーズを三作目「デス・クリーチャー 殺戮変異体」しか見ていなかったが、この映画も三作目と同様、実験生物の片割れであるレトリバー犬が非常に魅力的に描かれている。ペンを口にくわえてパソコンのキーを打つなんてドン松五郎ばりの芸当だけでなく、トラビスの身を案じて彼を逃がそうとする優しさや、トラビスを守るために窓ガラスをぶち破って相手に飛び掛る勇敢さまで見せてくれた。やはり犬好きには堪らない作品である。
その一方で、人間を襲う実験生物の方がいまいち魅力に乏しいのも「デス・クリーチャー」と一緒。単なる獰猛な怪物としてしか描写されず、再映画化作品の「D.N.A.W」のような深い設定が付けられているわけでもない。おまけに最後まで全体像がろくに映らないものだから、クライマックスの対決も盛り上がりに欠ける出来だった。
またこの映画、作品後半には「第3の実験生物」の存在が明かされるが、この設定はただ話のまとまりを悪くしているだけで、特に出す必然性は感じられなかった。
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