ラッキー・スカイ・ダイアモンド 「評価 B」
外界とは隔絶された部屋の中。ベッドで寝ている少女ヨーコは、度々グロテスクな悪夢にうなされていた。恋人の医師による治療も姉による看病も功を奏さず、症状は悪化していくばかりだったので、やがて医師は危険な脳手術に踏み切ることに。頭髪を剃り、後頭部を切り開き、脳の隙間に指を入れる医師。そして手術が終わり、昏睡状態のヨーコの脳裡に、ぼんやりと過去の光景が浮かび上がってきた。夜道を歩いていた彼女は、突如として薬を嗅がされ、謎の男女に捕まってしまう。その男女とは──、医師と姉だ。二人は正真正銘の狂人で、見ず知らずのヨーコを監禁してきて洗脳し、自分達のオモチャとして弄んでいたのである…。
「ギニーピッグ」シリーズの七作目として撮影されながらも、例の宮崎事件の影響でギニーピッグのギの字もないタイトルとなってしまった作品。輸血の袋やメロンの中にゴカイが蠢いている、脳の中からゴキブリが這い出てくるといった虫によるショック場面の他、天井から大量の内臓が吊り下げられていたり、零れてきた腸を体内に戻したりと、ゴアシーンもしっかり盛り込まれているのは流石ギニーピッグシリーズと言うべきか。しかし前作同様に予算が無かったのか、特殊メイクの出来が芳しくなかったのはいただけない。むしろ本作の魅力はそんな視覚に訴えかける面よりも、ヨーコを襲うキ○ガイコンビの狂気演技の方に見出すことができた。自称医師に扮する佐野史郎はヨーコの脳をいじくりながら自慰行為に耽り、自称姉に扮する中村れい子は「人殺し! 人殺し!」と叫びながらヨーコの腹をメッタ刺しにし、二人揃ってはヨーコに捲くし立てるように話しかけてきて彼女を混乱させ──と、素敵なまでの狂人ぶり。そしてクライマックスに至っては、顔を白塗りにした佐野史郎がダンボールの中から飛び出してきて「うふぇうふぇうふぇ、よぉぉぉこぉぉぉぉ!」と叫んではナイフを持って襲い掛かってくるのだ。役者のブチ切れ具合が堪らない作品だった。
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