マン・ハンティング 人間狩り       「評価 C」
アフリカのサバンナを、長期に渡る旱魃が襲った。草木は枯れ、草食動物たちは軒並み死に絶えた。すると残った肉食獣らは獲物を求めて人里を狙うようになり、デレクが経営する農園もまた、彼の留守中にライオンの群れが跋扈する無法地帯と化してしまったのだ。屋敷内にいたケイシーたちは籠城しながら救援を待つが、訪れた飛行機に気づいてもらえず、敢え無く素通りされる。しかも帰ってきたデレクは無残にもライオンに喰われてしまい、最早助けを期待することはできなくなった。そこでケイシーたちは一計を案じ、決死の脱出作戦を敢行した…。
サバンナで起こった実際の事件をベースにしたアニマルパニック映画。ストーリーは単純な籠城戦モノで、同じく実話ベースで且つ似たシチュエーションが展開される「キリマンジャロの悪魔」に比べると、主人公達が状況を打破するために行動を起こしているのでラストは幾らか満足のいくものになっていた。でも実話であることを強調したかったのか、屋敷に立て篭もった人々がアフリカに来た事情を急に事細かに語り出すのは何とかして欲しかった。特に後々の伏線となっているわけでもなく、単なる尺稼ぎとしか思えなかったのだ。
本作に出てくるライオンたちは全て本物を動員しているが、黒人女性に食らいついて引きずり回すシーンは人形と摩り替わる際のカット割りが絶妙で、「リアリティはあるが凄みに欠ける」という本物撮影のイメージを払拭するかのようなエグい仕上がりになっていた。しかし一方で、屋敷の周りで寝そべるライオンたちの姿は本当に飢えているのかと疑いたくなるほどに長閑な感じだったし、クライマックスの場面を除けば実際に俳優と絡むのは決まって一匹ずつであり、大量発生モノにしては数の恐怖をそれほど実感できなかったのはガックリきてしまった。
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