スネークトレイン         「評価 D」
アルマは両親を裏切ったことから呪いを受け、際限なく毒蛇を吐き続ける体質になってしまった。そこで夫のブルホは彼女と共に、呪いを解く鍵のあるロスアンゼルスへと向かうことにした。しかしその途中で砂漠を行く特急列車に乗ったところ、彼女の吐き出した蛇の群れが乗客たちに襲い掛かったのである。更にアルマが吐いた蛇に噛まれた人間も蛇を吐き出すようになり、列車は世にも恐ろしい残酷ヘビ地獄と化したから大変だ。何とか彼女の呪いを静めようと車両内を奔走するブルホだったがその甲斐もなく、やがて彼女の身体から生み出された蛇は全長30メートルはゆうにある巨大な蛇となって、列車を飲み込み始めた…。
「デス・バレー ブラッディ・ビルの復讐」のデヴィッド・マイケル・ラット製作による、「スネーク・フライト」の陸上版とも言うべき蛇映画。呪いで無数の蛇を吐く女という、人の手が蛇になる「ブラッド・バイダー」並みに気の狂った設定を本気で映像化してしまう制作者の気概にまず感動。大量に出てくる蛇たちは何匹も同時に映るシーンが少ないために画的に地味な印象だったが、老若男女分け隔てなく殺してしまうバイタリティに加え、体内に入った蛇を取り出すために心臓を抉り出すといったエグい描写、それと列車丸呑みシーンにおけるハッタリの利かせ具合も良く、低予算ゆえにVFX面の粗は多いものの、蛇映画としてはまずまず頑張っているように感じられた。
だがこの映画、主人公夫婦の厚顔無恥な行動が不愉快に感じられてしょうがなかった。自分達が助かるために列車を平気で暴走させ、あまつさえ蛇に乗客が噛まれてもまるで知らん顔。これではどう間違っても共感できるはずもなく、かと言って他に感情移入できるほど掘り下げられている登場人物が誰一人としていないので、何とも遣り切れない感情を味わい通しだった。
蛇映画一覧へ
TOP PAGE