デビルズ・アイランド 「評価 C」
メキシコ海岸沿いにある知られざる楽園、プント・アプリオボス。この地を訪れたコリンたち五人の若者は、サーフィンを楽しんだりビデオを撮影したりと、それぞれ楽しい一時を過ごしていた。だがこの楽園、海岸の岩場には大量の骨が散乱し、また近くの廃村にはつい最近まで人が住んでいた気配があり、妙に不可解な様子だった。そして陽が沈み辺りが闇に覆われた頃、奴らは遂にコリンの前に姿を現したのである。悪魔に魂を売ったカルト教団の教祖が作り出した、無数の死霊たちの大群が…。
このオカルトゾンビ映画の眼目は、何と言っても序盤の雰囲気作りに尽きるだろう。あまり人の訪れない浜辺という舞台設定もさることながら、岩場の骨や放置された自動車といった伏線の散らし方、あと小道具としてのビデオカメラの使い方がなかなかに秀逸で、物語への求心性を見事なまでに高めてくれたのである。そしてカルト教団の教祖が悪魔と契約するまでの過程も、陰惨さが滲み出ていて良い感じだった。
ただこの映画、あくまで雰囲気重視のためか、ゾンビの出番がそれほど多くはなかった。しかも登場シーンの大半が2メートル先も見えない暗闇の中なので殆ど姿を拝むことができず、終始やきもきさせられ通しだ。前半でゾンビの姿をチラ見せして期待感を盛り上げるのはよくある方法だが、この映画の場合、クライマックスにおいてもゾンビがチラ見せなのである。またラストも唐突というか非常に拍子抜けな代物で、作品を通して築かれてきたムードが活かされていたとは到底言い難い。ゾンビのメイクの出来自体は悪くないのだが、ゾンビの活躍を期待するとガッカリさせられる作品だ。
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