デス・バレー ブラッディ・ビルの復讐 「評価 C」
グウィンたちディベート部のメンバーはアリゾナの大会に車で向かっている途中、アールという男のカージャックに遭い、荒野の小さな町サンセット・バレーへと赴く羽目になってしまった。だがサンセット・バレーで彼らを出迎えたのは、全身が腐り果て血肉を貪り続ける住民たち。ここは南北戦争直後、悪魔と契約した元北軍兵ブラッディ・ビルの呪いによって住民全員がゾンビと化していた屍の町だったのである…。
南北戦争の怨念、普段は消滅している町、住民たちに襲われる余所者と、「2000人の狂人」を彷彿とさせるコンセプトのゾンビ映画。訪れた町の住民はみんなゾンビだった──という導入部はミステリアスな感じで興味を引き、町の入り口にある住民数を記した看板(誰かがゾンビにされる度にその数字が自然と増えていく)も作品舞台の禍々しい雰囲気を一際盛り上げていた。またテーブルに並べられた人肉をゾンビたちが貪っているなどの残虐シーンもきっちり盛り込まれており、これらの点に関しては十分に評価することができた。
しかしこの映画、ディベート部のメンバーの中にブラッディ・ビルについて詳しく知っている人物がいて、作品のかなり早い段階で彼が町のあらましについて全部語ってしまうため、ストーリーへの求心性がすっかり削がれていたのだ。おかげで説明された後は凡庸なアクションホラー映画と化し、序盤で感じられた不気味な雰囲気も綺麗に消え失せてしまった。もう少し謎解きシーンを先送りにするなどの工夫が欲しかったところである。
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