新・鳥             「評価 C」
生物学者のテッドは夏の間、論文作成のために家族と共に孤島の空き家を借りることにした。ところが島では最近、余所の土地から大量の鳥が押し寄せるようになっていた。しかも鳥たちには凶暴性があり、テッドも家のペンキ塗りをしていた際にカモメに襲われ額を負傷したのだ。その後も鳥による被害は拡大する一方で、テッドは家族を連れて島から脱出することを決めた。しかしフェリーが発着する港へと到着した時、遂に鳥たちは総攻撃を開始したのである…。
前作から30年の時を経て制作された、ヒッチコックの傑作パニック「鳥」の続編。前作はまだ動物パニックというジャンルが確立されていない頃でスリラー色が強かったのに対し、本作は70年代後半に確立されたパニック映画のフォーマットを踏襲した内容となっていた。眼球を啄ばまれた死体を大写しにするところや、クライマックスのド派手な見せ場(ボートのオイルが海面に漏れ、それが照明弾によって発火、やがて港全体が炎に包まれる──という一連の流れは秀逸)など、視覚的な刺激要素がふんだんに盛り込まれていたのは、現在のパニック映画に慣れた身としては楽しむことができた。しかし一方で、「主人公の警告をまるで聞かない町長たち」なんてパニック映画における定番の展開が何のヒネリも無く使われていたのには頭を抱えてしまう。良くも悪くも現代的で、前作と見比べると隔世の感を禁じ得ない作品だ。
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