ソーラー・ストライク 「評価 C」
地球の軌道上に浮かぶ人工衛星が、次々と謎の爆発によって落下してきた。原因は太陽の異常によるエネルギー粒子の飛来。通常ならば大気圏にぶつかって害を為さなくなるはずの粒子が、北極のオゾンホールを通って地球に猛威を振るい出したのである。しかもここ数年は地球温暖化の影響によって、大気中のメタン濃度が急激に増大していた。粒子によって引火したメタンは一斉に燃え上がり、世界各地の空は灼熱の炎に覆われたのだ。このままでは大気中の酸素が燃やし尽くされ、地球上に棲む全生物の滅亡は必至。元NASA職員のルーカスはこの絶対的な危機を阻止せんと、ロシアの原潜に協力を仰いで北極の氷を爆破し、その水蒸気でオゾンホールに蓋をしようとするが…。
自由の女神が大写しになっているパッケージが、同時期にリリースされた「アース・トゥルーパーズ 地球防衛軍VS巨大蟻軍団」と非常に紛らわしい天体パニック映画。オゾン層の破壊という、現実的ではあるがビジュアル的な刺激に乏しいためにパニック映画では「オゾンクライシス」ぐらいでしか扱われなかった題材を、地球温暖化や太陽からのエネルギー粒子と絡めることによって「地球炎上」という全く新しい形で映像化した着眼点が見事。オゾンホールに蓋をした途端全ての災害がピタリと止むのは「オゾンクライシス」同様に出来すぎのような気がしてならなかったが、空が徐々に炎に覆いつくされていくビジュアルイメージには、それを補って余りある興奮が感じられた。
しかしこの点が秀逸であるにもかかわらず、脚本の方は非常に凡庸だった。複雑な災害状況の説明に時間を割かれた故かろくな人間ドラマも描かれず、クライマックスの潜水艦でのやりとりも盛り上がりに乏しく、折角のアイデアを活かせていなかったのだ。
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