アース・トゥルーパーズ 地球防衛軍VS巨大蟻軍団「評価 C」
それは、地球に無数の隕石群が落下した直後のことだった。蟻研究の権威であるジョナサン・ケイン教授は、かつての教え子からとあるプロジェクトへの参加を呼びかけられた。そこで彼が待つ研究施設へと向かったところ、そこには檻に入れられた巨大なアリの姿が。地底深くに棲息していた未知の生物が、隕石落下の影響で地上に這い出てきたらしいのだ。実はプロジェクトとはこのアリのクローンを大量に生産して大儲けしようというもので、生物の危険性に気づいたジョナサンはすぐさま参加を断ろうとしたが、発足者であるジャックからの脅しによって施設に留まることを余儀なくされた。しかしその後、巨大アリは檻から脱出し、施設の人間を食い散らかしながら外へと飛び出した。そしてけたたましい鳴き声をあげ、地底深くに棲む仲間たちを呼び寄せたのである。地の底からぞろぞろと這い出てくる巨大アリの大群。一方その隙に施設を逃げ出したジョナサンは、ジャックたちの追撃を振り切って、無事レスキュー隊に保護されていた。だが巨大アリによる被害は都市部にまで及んでいたことを知り、彼は米軍や娘のオードリーと協力し、アリの掃討にかかったのだ…。
自由の女神が大写しになっているパッケージが、同時期にリリースされた「ソーラー・ストライク」と非常に紛らわしい昆虫パニック映画。「ダイナソー・ファイター カンフーVS巨大恐竜」に「ヴァンパイアX」、そして「アイス・コング」の製作総指揮を務めたデヴィッド・ヒューイ作品ということでVFXのレベルは言わずもがな。物凄く質感に乏しい巨大アリたちが町をウロウロ歩き回る様は、初代プレイステーションのゲームでもやっているかのような感覚に襲われること必至である。
脚本もお粗末で、冒頭で結構な時間を割いて隕石群が落下してくるまでの過程を説明したにもかかわらず、その後隕石による災害の爪痕を匂わせるような描写は、巨大アリ関連を除けば一切無し。市街地も普通に機能しており、どこか廃墟が登場するわけでもない。本当に巨大アリを出現させる理由としてしか機能しておらず、その無駄なスケールのデカさには仰天させられる。他にもジョナサンがレスキュー隊に保護される際に唐突な場面飛ばしが行われていたり、地下鉄の運転手が「カミカゼ・バンザーイ!」と叫んで巨大アリの群れに特攻をかけたり(車両内には乗客が多数乗っている!)と、頭がクラクラしてくるような凄まじい場面のオンパレードだった。
しかしこの映画、モンスター映画としてはまずまずの出来だと言えた。山岳地帯からロス市街地、地下鉄構内にニューヨーク上空と、戦いの場が変化に富んでいて飽きさせないし、巨大アリが橋の上から戦闘機に飛び移って撃墜させる──なんて「ジョーズ2」のヘリ撃墜に似た興奮を味わわせてくれるシーンもあった(勿論CGはショボショボだが)。特に素晴らしいのがクライマックスの女王アリとの空中戦で、追撃戦のカット割りといい決着の付け方といい、実にツボを押さえた作り。これが本当に「アイス・コング」の撮影を務めたエド・ティルマンの仕事なのかと疑ってしまうほどで、作品を大いに盛り上げていた。
GO TO TOP!!