マニアック2001 「評価 A」
ハンブルグ郊外の森で、護送中の男が脱走した。男の名前はカール・バーガー、20年前に母親を包丁で殺害した危険人物である。彼は悪魔と契約することで無敵の惨殺魔と化しており、森に足を踏み入れた市民たちは次々と肢体を切断され、臓器を抉り取られて命を落とした。キリスト様をも恐れぬカールに最早敵は無いかと思われたが、悪魔から得た肉体には限界があった。彼の体は時と共に崩壊し、破滅へと転がり落ちていったのだ…。
殺人鬼カールの暴れ初めを綴った、「VIOLENT SHIT」シリーズの第一弾。第二弾は「悪魔のえじき2 デビルズ・マザー」、第三弾は「悪魔のえじき ブルータル・デビル・プロジェクト」という邦題でリリースされているが、半ドキュメンタリー路線で刺激不足だった二作目、娯楽路線に徹して傑作となった三作目とは違い、原点である本作は余計な要素を一切排した純度100%天然モノのグロ映画。チェーンソーによる顔面切断、股間に包丁を振り下ろしての股裂き刑、女性器に切れ込みを入れて子宮や腎臓や腸の摘出などなど、他の映画じゃ中々お目にかかれない濃密なゴア描写を休むことなく繰り出すという、「ギニーピッグ」シリーズの熱烈なファンであるアンドレアス・シュナッス監督の趣味がこれ以上ないくらいに爆発した内容となっていた。
この映画、映像は終始ビデオカメラで撮影されているために御世辞にも綺麗とは言えず、また手首切断シーンで犠牲者の肘から先が妙に長かったりと、用いられる特殊効果もチープさが漂うものばかりだ。だがこの安っぽさこそが本作に「悪魔のしたたり」同様の「稚拙であるが故の本物っぽさ」を与え、結果として吐き気を催すほどの禍々しさを醸し出していたのである。あまりもの極悪な描写の数々に嫌な気分にならざるを得ない、グロ映画の一つの完成形とも呼べる作品だった。
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