新 死霊のしたたり 「評価 C」
ロスアンゼルスの古いビルで、両足を炎に包まれた女性が屋上から飛び降りて死亡するという事件が発生した。雑誌記者のキムはこれを人体自然発火現象によるものと考え、事件の調査をするためにビルの住民達に接近した。だがこのビルに住む女性たちは、男女の真の平等を実現するために日夜儀式を執り行う邪教の徒だったのである。そうとは知らずに近づいたキムは彼女らの術中にはまり、体内に怪しげな虫を植えつけられてしまった。この虫は教団の命令に従わないと活動を開始し、宿主を火達磨にして殺害する。かくして彼女らに従わざるを得なくなったキムはクリスマスの晩、儀式に使う生贄として恋人の弟を誘拐してくるよう命じられた…。
ブライアン・ユズナ繋がりでこんな邦題になっている、「悪魔のサンタクロース」シリーズの四作目。このシリーズは三作目以降は「クリスマスに起こる惨劇」という点を除けば全くストーリー上の関連性を持っておらず、それぞれ独立した内容となっている。そのため作品ごとの脚本の浮き沈みが激しく、シリーズ第五弾「キラー・ホビー オモチャが殺しにやってくる」のような佳作もある一方で、本作はストーリーの魅力に乏しく、あまり良く出来た作品とは言えなかった。邪教の目的が男女平等の実現という現代的なものだったのはミスマッチに感じられるし、キムが邪教の罠にかかる過程も素直すぎて面白みに欠ける。ただこの映画、SFXを五作目同様スクリーミング・マッド・ジョージが担当しており、虫たちのブヨブヨした質感や儀式のシーンでの悪夢のような映像構成といった視覚面の描写には優れたものがあった。特に本物のゴキブリを使ったカット群は秀逸で、台所の排水溝からワラワラ這い出してくるわ、パンの断面から顔を出すわと、悪趣味なことこの上ない。気色悪い映像が好きならば観ておいて損は無い作品だ。
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