新・地底探険 失われた魔宮伝説(別題:ジュール・ヴェルヌの地底探検)「評価 C」
1898年、ハンブルグ。地質学者のリンデンブロック教授は古本屋で、錬金術師サクヌッセムが記した謎の書物と地図を発見した。それには地底の奥底に存在する地球の中心部分への行程が記録されており、その内容に興味を引かれた教授は姪のグローベンやそのフィアンセであるアクセル、現地で雇った助手のハンスと共に、地図が示す地底への入り口・アイルランドの火山へと赴いた。火口の中の裂け目から、深い洞窟へと突入する一行。彼らは途中で謎の人物オルソンと出会いながら、やがて地中に広がる大海原へと辿りついた…。
ジュール・ヴェルヌの「地底旅行」を映画化したものとしては、59年の「地底探険」に続いて二本目となるスペイン映画。地底人をオリジナルで登場させたことによって本来の案内人であるサクヌッセムの存在感が薄れていたりと脚本の出来こそ大雑把なものだが、「ブラッド・ピーセス 悪魔のチェーンソー」「スラッグス」で過剰なサービス精神を発揮しているファン・ピケール・シモン監督のデビュー作なだけのことはあって、地底の海に到着してからの展開は文字通り「冒険」の嵐。毒キノコの胞子にディメトロドンの大群、巨大亀にキングゴリラと、息つく間もなく次々とトラブルがやってきて、探険映画の醍醐味を存分に味わわせてくれるのだ。特に後半に出てくるキングゴリラは出番こそ少ないが、着ぐるみの出来が素晴らしくて作品全体の質を底上げしていた。
ただこういった複数出てくる災難の内、じっくりと時間を割かれていた海竜同士の決闘と海上での暴風雨が、どちらも演出が今一つで緊迫感に欠けたのは残念だった。これならばキングゴリラの方にももう少し見せ場を用意して欲しかったところだ(それにしても邦題の「失われた魔宮」って何のことだろう…)。

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