T−レックス 「評価 D」
カルゴリン社に勤めるパーカー博士は遺伝子研究の果て、恐竜を現代に蘇らせる技術を完成させた。そこで初めにT−REXが生み出され、会社のビル内で飼われることとなったものの、ある晩パーカーと旧知の仲であるラドクリフたちが、その技術を盗み出そうとビルに侵入してきた。内部にいた者たちは次々と殺され、瞬く間にビルは彼らによって制圧される。だが侵入の際にビル内部のドアロックを全て解除したものだから、T−REXが檻から脱走。ハリウッドの町に飛び出していった…。
ロジャー・コーマン製作総指揮の恐竜パニック──といったら真っ先に連想されるのが「恐竜カルノザウルス」「ジュラシック・アマゾネス」「ダイナソーズ」「ジュラシックウォーズ」「ジュラシック・シティ」の五本で行われた肉食恐竜のモデルの使い回しだが、やはりこの映画でも街を歩く恐竜の頭を見上げるカットなどでは全く同じモデルの御姿が見られた。もうここまで来ると、モデルの流用だけであと何本作れるのかが気になってしょうがないぞ。
さて、そんなコーマン商法によって製作された作品だけに、出来の方は言わずもがな。映画の大半はパーカーとラドクリフたちとの戦いに費やされ、脱走したT−REXはその合間に町の人間を食い殺すカットがちょっとずつ挟まれる程度。しかも合成が粗く、昼間のシーンになると恐竜の姿だけが完全に景色に浮いている有様だった。ストーリーも無茶苦茶で、「恐竜が暴れている」という通報を受けた警察がイタズラ電話だと判断するのはよくある展開だが、恐竜は夜から昼間にかけてハリウッド中を荒らし回って数多くの人間を殺していたというのに、それでもラストまで気づかないのは流石に変だろう。またラドクリフたちは行き当たりばったりな行動が目立ち、とても産業スパイには見えなかった。コーマン商法の真髄を味わいたいのでなければ、取り立てて観るべきところのない作品である。
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