ネクロマンサー 復讐の魔術    「評価 D」
大学に通うジュリーはある晩、構内を歩いていたところポールたち不良グループに捕まりレイプされてしまった。しかも教授と付き合っているという弱みを握られたため、告発することもできずに泣き寝入りするばかり。だが何とか彼らに一矢報いたいと思った彼女は、新聞の広告で知った呪術師のもとを訪れ、ポールたちに復讐してほしいと依頼した。それを承諾し、怪しげな儀式を始める呪術師。次第に恐ろしくなってきたジュリーは儀式半ばで逃げ出したものの、時既に遅かった。次の日からポールたちの前にジュリーの姿をした呪術師が現れ、契約どおりに彼らを一人一人抹殺していったのだ…。
「ファイアーウォール」のダスティ・ネルソン監督によるオカルトホラー。呪術師は人間を殺すときに血に飢えた本性を現し、全身ズルドロのおぞましい姿へと変貌する。このメイク自体はさして悪くないのだが、何故か目の部分だけはチープな合成処理が行われていて違和感ばかりが際立っていた。また残虐描写は全般的にぬる目な演出で、斧で頭を叩き割るシーンでは血の付着しか斧が映らないし、男を操ってナイフで自殺させる場面ではシルエットしか映らない。「呪術師に殺された人間は跡形も無く消える」という設定のために死体がまるで画面に出ないのも凄惨性を薄めており、依頼者の意志とは無関係に復讐をこなしていく呪術師の姿にカタルシスを覚えることはできなかった。レイプされた主人公が泣き寝入りをするという展開がリアルだった点以外は、あまり評価できない作品だ。

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