マングラー              「評価 B」
ブルー・リボン洗濯工場で悲惨な事故が発生した。従業員の一人が洗濯用プレス機のローラーに巻き込まれ、全身を押し潰されて死亡したのである。その後もパイプから漏れた蒸気によって従業員たちが大火傷を負ったり、洗濯工場から譲り受けた冷蔵庫に子供が閉じこまれて窒息死したりと、工場の周りでは奇妙な事故が続発した。事態を重く見たハントン刑事が工場について調べたところ、このような不審な事故は全て、社長の姪であるシェリーの血がプレス機にかかってから起こるようになったことが判明した。悪霊が宿っていたプレス機は処女の血を浴びたことにより、血肉を欲する恐怖の殺人モンスターへと変貌を遂げていたのである…。
スティーブン・キングの短編「人間圧搾機」を、あのトビー・フーパーが映像化したオカルトモンスター映画。じわじわと苦痛を味わいながら死んでいくのは人間なら誰しも避けたいところだが、プレス機が人間を殺す本作では、そんなじわじわ系シチュエーションの代表例である「ローラーに巻き込まれて圧死」が都合三度も出てくるためにかなり兇悪だった。体の先端部分からローラーにひき潰されて死んでいくという後味の悪いシーンを何度も見せられ、しかもその都度演出を変えているものだから印象もガラリと変わり、全くマンネリを感じることなく嫌な気分を味わい続けることができたのである。ただ、プレス機はクライマックスになると完全に悪霊に乗っ取られて自足歩行する怪物へと姿を変えるものの、これは正直蛇足に感じられた。この形態では自分の腕で相手の体を切断するぐらいのことしかせず、ローラー圧搾に勝るインパクトを出せていなかったのだ。
またこの映画、洗濯工場の社長をロバート・イングランドが演じており、スチール製の松葉杖に片目失明という異形の外見に加え、いかにも黒幕然とした立ち振る舞いによって作品の不気味な雰囲気をより濃厚なものにしていた。

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