ウエスト・オブ・ザ・デッド        「評価 D」
19世紀末、メキシコの鉱山街サンタボニータでは太古の財宝が眠る遺跡が発見されたものの、財宝の独占を企んだ地主ディアスによって住民たちは無残にも皆殺しにされてしまった。そして現代、町を訪れたジョスとアリシアは車が故障したせいで、一晩だけ町のホテルに滞在することになった。しかし町には不穏な空気が漂っており、明らかに何かがおかしい様子。するとその晩、町の住民たちがアリシアを教会へと連れ去っていった。急いで教会へと殴り込みをかけ、祭壇に捧げられていたアリシアを助け出すジョスだったが、その瞬間、町は大量のゾンビが犇く危険地帯と化した。大切な生贄を失ったことにより、ディアスに殺された住民たちが再び死霊として蘇ってきたのである…。
憎悪に支配された町が辿る運命を綴ったウエスタン・ゾンビ映画。悪名高い「ハウス・オブ・ザ・デッド」のマーク・A・アルトマンが脚本を書いたせいなのか、余計なものを大量に詰め込んだせいでパンク寸前の状態となっていた脚本がとにかく酷かった。
まず、19世紀と現代とを繋ぐ人物関係はもっと簡潔に整理しても良かっただろう。回想シーンだけでは処理しきれず、最終的に長台詞による説明で真実を語られても大して心には残らなかったぞ。あと序盤に挿入される1953年のエピソードは、10分以上も使っている割には本筋にあまり関係ないので省略しても一向に構わない。こんな場面に時間をかけるぐらいだったら、もっと現代における普段の町の様子をじっくり描いて欲しかったところだ。本作は通常時の町についての情報がまるで不足しているために、夜にゾンビが出てきても何のカタルシスも生じなかったのである。
一方でこの映画、ゾンビたちとの戦いも決して満足のいくものではなかった。説明部分に尺を割いているおかげでゾンビと生身の人間との絡みが殆ど拝めないときている上に、中盤以降はホテルでの籠城戦というシチュエーションなのに、ゾンビたちが積極的に攻めてくる気配がまるで無い(ドアが閉まっていると建物に入ってこない!)ので観ていてゲンナリしてしまう。また保安官事務所に銃弾を取りに行く場面も、主人公カップルの女友達がゾンビ相手に壮絶アクションを決める場面も、演出が悪いためにただただ失笑するばかり。ストーリーもゾンビの活躍も楽しめない、実に悲惨な出来のゾンビ映画だった。

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