ゲイター 「評価 C」
1964年、タイのバーンムット運河を悲劇が襲った。全長12メートルを超える巨大なワニが、沿岸の住民や家畜たちを襲い始めたのである。住民達はワニに懸賞金をかけたり呪術師に退治を依頼したりしたものの、いずれも効果を為さず、ワニによる犠牲は増える一方だった。そこで遂にノンたち陸軍の特殊部隊の出動が決まったものの、その矢先にノンの兄がワニに喰われて死亡するという事件が発生した。ノンは復讐の念に燃え、何としてでもワニを退治せんと危険な水域に飛び込んだ…。
「ジャイアント・クロコダイル」といい「アリゲーター 愛と復讐のワニ人間」といい、それまでタイ産のワニ映画といったら少しセンスのずれた珍作揃いという印象がしていたが、実話が基になっている本作はそれまでのジンクスを覆すかのような非常に正統派な内容だった。最初に村の住民が人知れず襲われ、次いで誰も見ていないところで家畜が襲われ、そしてボートに乗っている麺売りの老人が襲われたところで初めて目撃者が出る、という導入部分はまさしく動物パニック映画のテンプレートに則ったものだし、軍が退治したワニは事件を起こしているのとは別の個体だったという展開も鮫映画などでは頻繁に見かけるものだ。そのため作品内容にはあまり特徴と呼べる点が見当たらず、せいぜい作中でストーリーとは関係なしに出てくるタイ料理の数々が尋常じゃないくらいに美味そうだったところや、呪術師がワニ退治に乗り出すのを新聞で大々的に報じられているのにタイというお国柄が窺えるところぐらいなものだったが、逆に正統派であること自体が、曲者だらけのタイ産ワニ映画群の中で異彩を放っているように感じられた。
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