マッド・フェニックス 「評価 D」
細菌戦争によって荒廃した未来。男は死滅し、生き残った女たちは秩序のなくなった地上で、互いに破壊と略奪の日々を過ごしていた。巨大な施設に保存されていた精液は全て悪の帝王マザーが独占しているため、彼女らは自由に子供を産むことさえできない。だがそんな中、砂の猟師フェニックスはマザーの部下に襲われていたキーラという女性を保護した。何でもキーラはマザーの施設から精液を持ち出したらしく、しかもそれを使ったことで現在は男子を身籠っているそうだ。彼女の話を聞いたフェニックスは驚きを隠せなかったものの、ここで会ったのも何かの縁と感じ、彼女と共にマザーの魔の手から逃れるための旅を始めた…。
荒廃した未来世界を舞台に女戦士たちが闘いを繰り広げる、ビクター社の「スーパー・アクション・シリーズ」第三弾。世界観はかなり「マッドマックス」シリーズからの影響が窺えるが、一方で内容はというと「アマゾネス」ばりの女族映画。なので改造車ではなく廃車同然のボロ車、金網に覆われたサンダードームではなく有刺鉄線で囲われただけの闘技場と、出てくるアイテムは「マッドマックス」シリーズに比べてことごとくスケールダウンしている。もちろんアクションシーンは脱力必至な出来で、フェニックス役の女優はキックをしてもろくに足が上がらないし、狂暴な女戦士という触れ込みの登場人物でさえ斧を握る手元がおぼつかない。銃撃戦のシーンもカット割りが稚拙なために誰に向けて撃っているのかすら分からない有様で、観ていて全く盛り上がらないのだ。
とは言え本作、女族映画としても決して満足できる内容でないのが辛かった。戦闘シーンは豊富にあれど殆どが剣や銃火器を使ったものばかりで、なかなかキャットファイト状態に突入しないのである。そのためSFとしてもアクションとしても女族モノとしても中途半端な印象で、成長したキーラの息子がいきなり手裏剣を武器に使い出したり、敵役の女がオルゴールを動かしたら導火線に火がついて、音に聞き入っているうちに爆死したりといったお馬鹿な箇所しか楽しめない作品となっていた。
TOP PAGEへ