アトミック・パーティー 核破壊都市X  「評価 B」
核戦争によって廃墟と化した都市・エルウッド。僅かな生き残りだったヒューイたちは食料を求めてさまよい歩くうちに、ある地下シェルターにたどり着いた。中に入ると大勢の若者たちが乱痴気騒ぎを繰り広げており、とても核戦争後の世界とは思えない様子。このシェルターの持ち主であるジョンは既に生き延びるのを諦めており、「せめて最期ぐらい楽しく過ごそうぜ」という考えの下、連日連夜パーティーを開いていたのだ…。
滅びつつある世界で明るく生活する者たちの姿を追ったSF映画。ジョンたちのポジティブ思考には「ナイト・オブ・ザ・コメット」に通じるところがあるが、同時に本作では迫り来る死をかなり切実に描写しており、明るく楽しい生活が薄氷の上で繰り広げられていることをハッキリと見せ付けている。初めのうちはバンド演奏で盛り上がるシェルター内で、酒を飲んだりヤクをきめたりと好き放題にやっていた若者たちが、日時の経過に伴い無気力になっていき、やがて一人また一人と放射能汚染によって倒れていく。特に映画の後半、ビデオカメラの映像から若者たちが死んでいく様を覗うシーンは、素晴らしいまでに暗澹とした雰囲気に満ち溢れており、観ていて憂鬱にならずにはいられなかった。だが映画のラストシーンで彼らは運命を完全に受け容れていたことを改めて示し、素晴らしいまでの感動を呼ぶのである。そんなラストを台無しにするようなテロップを入れる制作者の悪乗りはいただけなかったが、終末系SFの隠れた秀作だった。

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