キラー・エリート             「評価 D」
民間諜報機関のエージェントであるマイクは、同僚ジョージの裏切りに遭って負傷し、入院を余儀なくされた。しかし彼はリハビリがてらに東洋の武術を学び、ジョージへ復讐する機会を虎視眈々と狙っていたのである。そんなある日のこと、彼のもとに仕事の話が舞い込んできた。サンフランシスコに滞在している台湾の政治家チャンが日本のニンジャ軍団に命を狙われているらしく、彼を無事出国させて欲しいとのことだった。しかもニンジャ軍団には助っ人としてジョージが加わっていると聞き、マイクは勇んで依頼を引き受けることにした…。
サム・ペキンパーの大失敗作として名高い、ニンジャが出てくるアメリカ映画の第一号。脚本は無茶苦茶もいいところで、マイクが東洋武術を学ぶシーンに結構な時間を費やしていた割には、その後マイクは銃ばかり使っていた他、チャンの娘が唐突に忍装束を纏って単独行動に出て敵に捕まったり、チャン(マコ岩松!)が銃で倒せる相手にわざわざ刀を持って戦い始めたりと、登場人物たちの行動がやたら理解に苦しむ。そしてこの映画、ニンジャたちに魅力が全く感じられないのだ。本作のニンジャは刀しか持っておらず、手裏剣や弓矢のような遠距離攻撃ができる武器を何一つ持ち合わせちゃいない。そのため戦闘の際には相手に接近する必要があるのだが、どういうわけか彼らは相手の後ろへ回り込むといった戦法を一切使おうとせず、真正面から刀を持って一直線に突っ込んでくる。対するマイクたちは銃で武装しているというのに。当然ニンジャたちはハエのようにバタバタ殺されていき、そこには目を覆わんばかりの大虐殺が展開するのだった。ペキンパーお得意のスロー・モーションでニンジャたちが一方的に殺戮されるシーンを見ていると、ニンジャ好きとしては実にいたたまれない気持ちが込み上げてくるぞ。また二時間弱の上映時間の中でニンジャが出てくるのは三十分にも満たず、決してニンジャの活躍を期待してはいけない作品だ。

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