サイレント・ワールド セカンド・アイスエイジ 「評価 D」
収穫されたばかりのオレンジが凍る、季節外れの猛暑が続く──といった異常気象の数々が、世界各地で頻発した。気象学者のデビッドはこれらの原因が地球の磁場の乱れであることを突き止め、間もなく地球全体に氷河期が訪れるだろうと予見した。ところが幾らその危険を上司や軍に訴えても、楽観的な彼らはまるで聞く耳を持ってはくれない。そうこうしている内にアメリカ大陸を強烈なブリザードが襲い、地球全体の気温は激しい勢いで低下していった…。
あの「デイ・アフター・トゥモロー」モドキのSFアクション映画「サイレント・ワールド」とは一切関係の無いSFパニック映画。前半部分こそ南極大陸を舞台にストーリーが繰り広げられてスケールの大きさを感じさせてくれるが、何故かその後は急速にスケールが矮小化。アメリカに戻ったデビッドが昔別れた女と再会したり、金の亡者な上司と衝突したりと、狭い範囲でのドラマが淡々と綴られた挙句、いきなり「氷河期突入まであと数時間しかない!」なんて超展開が巻き起こるのだ。おまけにクライマックスでは寒さを凌げる実験室に入ろうとビル内を動き回るという、とても地球規模の災害を描いた映画とは思えない「山場」が用意されており、観ているこっちが氷河期に突入してしまう。しかも大半の異常気象はニュースキャスターによる口頭説明で流されるという有様(しかも同じニュースを二回流す)で、壁が物凄い勢いで凍り付いていくという「デイ・アフター・トゥモロー」ばりのカットもCG処理が下手で台無しになっている。ただ一つ、上空から極寒の竜巻が降りてきて周囲のものを吹き飛ばすシーンだけは災害パニック映画としてのカタルシスを感じさせてくれたが、映画としての出来は「サイレント・ワールド」にも劣る作品だった。
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