MAGMA                  「評価 D」
アイスランドの休火山が立て続けに爆発し、多数の死傷者が出た。ちょうど調査に来ていた火山学者のシェパードはこの噴火の凄まじさを目の当たりにし、これは恩師オスカー博士が警告していた大災害の前兆ではないかと危惧する。オスカー博士の提唱する「エクソダス理論」では、地球を取り巻く断層に添って世界中の火山が次々と爆発し、やがて地球全土に氷河期が訪れるというのだ。更に富士山やキリマンジャロまで爆発したことで彼の説に対する確信を深めたシェパードは、大統領たちへと現在の危険な状況を直訴した。そこで早速、マグマの噴出を抑えるべく、断層に核弾頭を撃ち込む計画が立ち上げられるが…。
地中に核弾頭を撃ち込んで地球の危機を救うという、「ディープ・コア2000」「アンダー・ザ・プラネット」系統のパニック映画。邦題からも分かるように、この映画では地上で起きる災害を噴火のみに限定しており、地震が全く出てこないのが特徴だ。しかしそれならば溶岩の扱いにもっと拘りがあって然るべきなのに、肝心の溶岩はCGっぽさが鼻について物凄くゲンナリしてしまった。また本作には富士山が爆発するということで日本のシーンも存在するが、撮影舞台を民家のみに限定してあったのでさほど違和感は無い。しかし大爆発した富士山の様子を衛星から捉えたショットで、何故か静岡ではなく名古屋周辺が噴煙に覆われていたのにはさすがに魂消たぞ。せめて作中で扱う山の位置ぐらいは把握して欲しかった。
そしてこんな災害描写ばかりでなく、脚本もまた凄みに欠ける。世界規模の災害を描いた映画なのにシェパードの別居中の奥さんとの復縁話がダラダラ続いて一向に話が盛り上がらないし、シェパードのライバル的存在であるキンケイド博士のキャラも随分と平坦的で弱く感じられる。しかもクライマックスは世界を救えるかどうかの瀬戸際という一番盛り上がるはずの場面なのに、奥さんが働く国立公園でマグマが噴出し、キャンプに来ている若者たちを救助するために奥さんが奮闘する──というマイクロスケールの話が織り込まれ、最後まで不完全燃焼のままだった(それにしても、プライム・ウェーブはどうして本作に「ディープ・コア2006」という邦題を以下略)。

TOP PAGEへ