スネーク・フライト         「評価 B」
ハワイのオアフ島でバカンスを楽しんでいたショーン青年は、偶然にもギャング団の首領・キムによる殺しの現場を目撃してしまった。それに気づいたキムは、部下たちにショーンの抹殺を指示する。辛くも難を逃れ、FBIのネヴィル捜査官に身柄を保護されたショーンは、キムが犯した殺人の証言をするべく、ネヴィルと共にロスアンゼルス行きの旅客機に乗り込んだ。ところがキムは何としてでも彼を葬り去らんと、旅客機の中に数千匹のヘビを仕掛けていたのである…。
ボアにコブラにラトルスネーク──ヘビ映画でお馴染みの顔ぶれが飛行機の中で一堂に会する、ヘビ好きにとっては鼻血モノな映画の登場だ。何と言ってもヘビたちの種類の豊富さが素晴らしく、小型のヘビは狭い穴から神出鬼没に出現し、猛毒を持つヘビは毒液を飛ばして攻撃し、巨大なニシキヘビは獲物に巻きついて頭から被りつき──と、それぞれの個性を生かした暴れ様も存分に見せつけてくれる。似たようなコンセプトのエアパニック映画として蜂の大群が暴れる「フライング・ヴァイラス」もあるが、本作の方が酸素吸入器が降りてくるのと一緒に大量のヘビが落ちてきたり、電気回路をショートさせて空調をストップさせたりと、飛行機という舞台を絡めたギミックが多かったので一枚上手と言えるだろう。ただ残念なところとして、そんなヘビたちによる大量虐殺シーンよりも、転倒した男の頭に後ろから走ってきた女性のハイヒールのカカトが刺さる、階段から落ちた男が串刺しになるなどの、パニックを起こした乗客たちによる人災の方がショッキングに描かれていた点が挙げられる。「デッド・コースター」のデイヴィット・エリス監督作だから仕方ないとも言えるが、おかげでヘビたちの凶悪な印象がだいぶ弱まっていたのは気になった。またヘビたちの始末が終わった途端に作品全体のテンションがいっぺんに落ちてしてしまい、エアパニック映画の醍醐味である着陸シーンにおける演出が完全に空回りしていたのも惜しいところ。ヘビたちの活躍ぶりについては期待通りに楽しませてくれたものの、それ以外の点では今一つ煮え切らない感じの作品だった。

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