マシーン・オブ・ザ・デッド      「評価 D」
ヒューマン型アンドロイドが開発され、警察や政治などの幅広い分野において実用化が進んでいる未来。とあるビル街では生身の美女が次々と惨殺される事件が発生し、住民たちを震え上がらせていた。事件の容疑者はアンドロイドのエドモンド・ヴェイカー。修理された際に悪の心を植えつけられたらしく、反キリストの思想に則って殺人を繰り返していたのだ。警察機構は総力を挙げて彼の逮捕に乗り出すが、素早いエドモンドには常に逃げられてばかりだった。そんなある日のこと、何匹もの悪魔がエドモンドの隠れ家を訪れ、彼に反キリストのシンボル的存在にならないかと呼びかけてきた…。
いやあ、こいつは酷い。上映時間の79分が3時間近くにまで感じられる、悪夢のような映画の登場だ。何が酷いってこの映画、構成が無茶苦茶にも程がある。まず美女のお色気シーンがあって、そこにエドモンドが登場して美女を殺害し、それから駆けつけた警察が死体を見て悔しがる。本作ではこれを二十回近くも繰り返し繰り返し見せられるのだ。一応マンネリを感じさせないようにとの配慮か、各殺害シーンごとに凶器を変える工夫もされているのものの、チェーンソーだろうがドリルだろうがハイヒールのカカトだろうが(マテ)どれもカット割は似たり寄ったりなので、やっぱり見ているのは苦痛でしょうがなかった。殺害シーンの陰惨さも大したことなく、泣き叫ぶ女の顔を映した次のカットでは原形を留めていない肉の塊が転がっているだけで、いまいち風情に欠ける。更にたまに挿入される戦闘シーンも、アンドロイド同士の殴り合いのためか「コン! カン! キン!」といった気の抜けるような金属音しか鳴らず、迫力なんてものは微塵と感じられなかった。ただし美女の裸や下着姿は嫌というほど拝めるので、SF版「死霊の盆踊り」と思って鑑賞すれば、苦痛もだいぶ和らぐはず……無いか。
こんな本作から誉められるところを何とか拾い上げるとすると、アンドロイドたちの造形ぐらいのものだろう。アンドロイドたちは全員鉄クズを寄せ集めたような貧相な外見をしているものの、それぞれの顔が一瞬で判別できるよう、一体ごとに異なったアプローチのデザインが施されていた。爆破やカーチェイスの特殊効果が驚くほどにチープだった分、一層その凝りようが際立って印象に残ったのである。

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