フロッグマン 「評価 C」
環境保護庁のバーバラ・マイケルズ博士は、公害の調査をするために小さな田舎町を訪れた。そこでは何者かによって廃棄物の不法投棄が行われており、養魚場から目玉の多い魚や人間の赤ん坊の形をしたカエルなどが発見されていたのである。バーバラは町の産業の中心地である薬品工場へ真っ先に疑いの目を向けるが、社長のグライムズは知らぬ存ぜぬの一点張りだった。何とかして尻尾を掴もうと、彼女は周囲の妨害にも負けず水質検査を続ける。しかしその一方で、町では住民の皮膚がピンク色に爛れ出したり、カエルのような恰好をしたレイプ魔が出現したりと、不穏な事件が相次いだ。不法投棄された薬品は町中の水質を汚染し、住民の体に害を及ぼしたばかりか、カエルの突然変異種「フロッグマン」まで誕生させていたのである…。
アルバトロス・コア発、脱力系怪人フロッグマンが猛威を振るうモンスター・パニック映画。プロットに取り立てて新味は無く、ラストのオチも含めて実にありがち感が漂っている。また登場人物の設定描写も弱く、例えば養魚場のオヤジは保安官たちが散々変人呼ばわりしているにもかかわらず、特に変人であることを示すエピソードが出てくるわけでもなく、本人が登場する場面でも全然変人ぶりを発揮してくれないので、いくら「あいつは変人だから信用できない」と言われてもピンと来ない。住民の四分の一が失業したことについてもフォローが無いまま終わるし、脚本面については到底評価しがたい作品だ。
更に本作、クリーチャーの造形も誉められたものではなく、目玉の多い魚も人間の赤ん坊のようなカエルも、非常にハンドメイドな雰囲気に溢れている。中でも凄まじいのはフロッグマンのスーツで、動くと皺ができたりしてビニールの材質感がモロに出ている上、頭にはヒレが付いていて、どう頑張ってもカエルには見えなかった。
けれども、けれどもだ。このフロッグマンの中に入っているスーツアクターの演技が素晴らしく、作品全体に何ともいえない奇妙な味を醸し出していたのである。手足を振り上げて夜道を横切る衝撃の初登場カットに始まり、カエルジャンプをしながら女をレイプするわ、大股開きの怪しい歩き方を披露するわで、観ていて全身の力が抜けていくこと必至。しかもエンディングには失笑確実の「フロッグマン体操」まで用意されており、最後の最後まで見事に脱力させてくれたのだ。
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