荒野のアニマル(別題:レイプ・アフター 地獄のアリス)「評価 B」
荒野を行く駅馬車を虎視眈々と狙う、荒くれ者の集団がいた。彼らの標的はアリゾナ刑務所から護送中の男。馬に跨り拳銃を鳴らし、駅馬車の進行を止めた荒くれ者たちは、目当ての男と同乗者たちを残虐な手口で次々と殺していった。唯一生かされた女教師のアリスも、彼らに連れて行かれて人気の無い場所で輪姦される羽目に。だが彼女は放心状態になっていたところをアパッチ族のチャトに助けられ、辛うじて地獄から逃げ出すことができた。その後、チャトから戦う術を学んだアリスは、チャトと共に復讐の旅に出る…。
「ウィークエンド」や「発情アニマル」など、70年代に何本か製作された「レイプされた女の復讐劇」映画の先駆けとも言える作品。後々の作品群に比べると描写は弱めで、レイプされる場面は静止画で処理されるし、復讐シーンもアッサリしていてカタルシスに欠ける。アリスが非情に徹しきれずに悩んでいる様子が描かれていたので、復讐がねちっこくないのにも納得はいくのだが、後年の作品のような痛快さを期待していると痛い目を見るだろう。
本作はそんな復讐劇よりも、アリスとチャトによる異文化接触の方が印象に残る。親切なチャトに信頼を寄せるアリスと、アパッチ族に偏見の目を向ける保安官達──と、「ダンス・ウィズ・ウルブス」や「食人族vs首狩族」のような構図が本作では作られており、その縺れから生じたあまりにも悲劇的なラストは強く胸を打つのである。
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