エイリアン・シューター 「評価 C」
23世紀の未来、人類は宇宙へと活動の場を広げていた。ところが宇宙にはヴァンパイアの種族が無数に存在しており、他惑星で開発や研究を行っていた者たちは次々と彼らの餌食になっていった。そのため地球では民間武装団体V-SAN社が立ち上げられ、人類に害を及ぼすヴァンパイアたちの始末に当たらせたのである。そしてそんな宇宙の一角で、V-SAN社のチャーチル指揮官率いるチームはいつものようにヴァンパイア退治を行っていた。だがある時、レザーフェイス族との交戦を行っていたチャーチルは自らが立てた無謀な作戦が祟って殉職してしまう。そこで元軍人のダミアンが代わりの指揮官となるが、軍隊の規律をチームに適用しようとする彼に他のメンバーたちは猛反発し…。
広大な宇宙を股にかけて吸血鬼との戦いが繰り広げられる、ホラーテイストなスペース・オペラ。TVムービーであるが故にろくなロケが行われていないらしく、ダミアンたちが行き来する数々の惑星は殆どが地球と全く変わらない様子で、おまけに他惑星の研究施設という触れ込みの建物があばら家同然の佇まいだったりで興を削がれる(それでもスプレーで落書きされた廃墟を他惑星と言い張っていた「RECON2020」よりは大分マシだが)。そして脚本の方も御世辞にも良いものとは言い難く、登場人物の考えがコロコロ変わるのが日常茶飯事なのはいただけなかった。
しかし本作、敵として登場するヴァンパイアの各種族が、人間そっくりの外見で木を二本足で駆け上るほどの身体能力を持つヴォルヒー族、知能が低いゾンビのような姿のレザーフェイス族、宿主に寄生して吸血を行わせる芋虫状のヴェマス・ノスフェラティ族と、実に個性的。おかげで映画の内容が単調になるのが防がれており、また様々な種族を登場させることによって、作品全体にスケール感が醸し出されている。ヴェマス・ノスフェラティ族が喋るカットで東京コミックショウ方式の特撮が採用されているのに予算を感じてしまうが、ロケで出せなかった宇宙らしさをクリーチャーで補っていたのは悪くなかった。
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