ザ・カー 「評価 B」
鳥も歌わぬ田舎町サンタ・イネスに、悲鳴がこだました。何処からかやって来た黒塗りの大型車が、サイクリング中のカップルを、ホルン吹きのヒッチハイカーを、次々と血祭りにあげていったのだ。ウェイドたち町の保安官は検問を敷いて犯人の逮捕に努めるが、何故か車は一向に捕まらない。至る箇所から煙のように出現しては、事件を起こしてぱたりと消えてしまうのである。しかも他の車とぶつかっても、何発もの銃弾を浴びても、犯人の車はまるで損傷せずに綺麗な状態のままだった。それもそのはず、この車には運転手がおらず、何らかの超自然的な力で動かされていたのだ。そんな怪物車に再婚相手のローレンを殺されたウェイドは復讐に燃え、同僚達と協力して車との決死の戦いに臨むが…。
無人の暴走車が狙った標的をガンガン轢き殺していく、「激突!」ライクなオカルト・モンスター・パニック映画。大型車にはオカルティックな設定がなされているものの、それを活用した描写は墓場に入れずにジタバタするような情けないものだったり、銃弾がまるで当たらないといった見栄えのしないものだったりで、正直恐怖感は薄い。むしろ製作時期が動物パニックブームの真っ最中だったからか、車を暴れさせて興奮を煽ることに重点の置かれた内容となっていた。怪物車は大量の砂塵を巻き上げ、クラクションとエンジン音を雄叫びのように鳴らして獲物を追い回す。作中ではドリフト走行などのダイナミックな動きが存分に拝むことができ、家を貫通して中の住民をひき殺すシーンでは、エンジン音が大きくなってくる演出といい壁を割ったカットの構図といい、かなりの迫力を味わわせてくれた。
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