エイリアンシンドローム        「評価 B」
山の中でキャンプを楽しんでいた、ジーンら四人の若者たち。しかし突然現れたエイリアンの大群に捕獲され、彼女らは宇宙船で怪しげな手術を受けたのである。そしてジーンが再び目を覚ましたとき、彼女は病院のベッドに寝かされていた。主治医のブッカーの話によると、ここは全米各地で頻発している異星人誘拐事件の被害者たちが収容される極秘施設らしく、彼女の友人達も同様に収容されていた。しかし友人達は施設で何らかの実験台にされたようで、頭に穴を開けられて半ば廃人と化していたのだ。彼らのようにされるのは時間の問題と感じたジーンは、病院のスタッフであるトーマスの協力を借りて脱走を図るが…。
密室サスペンスの緊迫感とグロテスクな表現とが結実した、SFホラーの秀作。ジーンは情報を集めながら病院を脱出する手立てを練っていくのだが、病院のルールを最大限に利用し、いざとなったら力技をも駆使して病院スタッフの追跡をかわす様は、並々ならないスリリングな興奮を味わわせてくれた。ドリルで頭をえぐられたり、捕らえたエイリアンから大量の精液を搾り出したり、顔が破裂してエイリアンの幼体が飛び出してきたりといった数々のエグいシーンも、病院内の薄暗い陰惨な雰囲気とマッチして気色悪さが倍増している。
しかしこれだけでは、この映画はまだ良作止まりだっただろう。本作の一番面白いところは、クライマックスにおける怒涛の伏線回収にあるのだ。まさかのどんでん返しに始まり、それまで示されてきた数々のキーワードが一本の線に繋がっていく展開には震えずにはいられなかった。

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