バトルロワイアル・アイランド    「評価 B」
ハロー・コーポレーションが放送する人気番組「サバイバル・アイランド2020」。絶海に浮かぶロメロ島を舞台にしたサバイバル・レースの模様をオンエアするという、如何にも「サバイバー」の二番煎じといった感じの放送内容だが、この番組の変わっているところは参加者がみんな服役中の囚人という点だ。彼らは皆100年以上の懲役もしくは終身刑を科されており、生きて娑婆の空気を吸うことなんてまず不可能。それがもしゲームに勝利したら賞金5000万ドルに加えて罪の放免までされるというんだから、気合の入りようがそこいらの一般の参加者なんかとはワケが違う。勝利を掴むためなら平気で殺し合いや騙し合いを行い、ゲームはどんどん混迷を極めていくのだ。更にこのロメロ島にはその名前からも分かるように、軍の研究が生んだ狂気のゾンビ軍団が犇いているときた。ゾンビの攻撃を受けた人間はお約束どおりに直ちにゾンビと化してしまうので、一寸たりとも油断は禁物。さあ、参加する囚人達は全部で10人。果たしてゾンビや他の参加者たちを打ち負かし、無事ゴールに辿り着けるのは誰なのか!?
アメリカの人気TV番組「サバイバー」に「バトル・ランナー」の要素をミックスさせ、おまけにゾンビも登場させたサバイバル・アクション映画。終始TV番組を意識した構成になっており、オッズ表示や前半ダイジェスト、本編終了後の次回予告といった小ネタもふんだんに盛り込まれている。また或る参加者がゾンビや他の参加者を攻撃した際にいちいち画面を停止させて「100 POINTS」などと表示される演出は、初めの頃は戦闘のテンポが削がれるようで違和感を覚えてしまうが、次第に「ああ、これは映画でなくTV番組なんだ」と頭の認識が変容してくるのか、さほど苦痛には感じられなくなってくる。これは映画としての体裁を捨て、徹底的にTV番組風に作りこんだことによって生じた利点と言えるだろう(同様のことが参加者死亡の際の「電波停止」演出にも言える)。そして本作において忘れてはならないのが、参加者を決して人間的に掘り下げようとしない極めてドライな作風だ。このおかげで幾ら人が死のうと後味が悪くならず、純粋に参加者達のバトルに没頭できたのである。最後まで退屈せずに観ていられる、秀作と呼べる作品だった。

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