ザンゴリラ             「評価 C」
学内新聞の記者ダフィはスクープを追って今日も大忙し。生物学の研究室で怪しげな動物実験が行われていると聞くと、その実態を探るべく真夜中の研究室へと単身忍び込んだ。そして檻に閉じ込められていたゴリラを見つけ、早速写真に収めるダフィ。しかしカメラのフラッシュを浴びたゴリラはパニックを起こし、強引に檻から脱出。ダフィの腕を噛んで研究室を飛び出すと、通りかかった車に轢かれて命を落としてしまった。慌てて逃げ出したダフィだったが、実はこの時、彼は恐るべき細菌に感染していたのだ。ダフィの体には次第にゴリラのような怪力と凶暴性が備わっていき、数日後にはちょっとしたことで暴力沙汰を起こすようになったのである。また彼に噛まれた者たちも同様の症状を起こすようになり、平和だった学園は見る見るうちに惨劇の場へ。ダフィの無二の友人であるサムは、何とかしてこの騒動を収めようとするが…。
一瞬「サンゲリア」かと思ってしまう邦題が色んな意味で素晴らしい、学園ウイルスパニック映画。「感染するとゴリラのようになる細菌」という設定を初めに聞いた時、てっきり感染者はゴリラの姿にでも変身するのかと思ったが、意外にも感染者のメイクは素顔に血管を浮き上がらせただけのリアル志向。怪力を発揮したら頭の血管が破裂して血が噴き出すなど、限界以上の力を出すことに対する負荷をしっかりと描写しているのが生々しかった。メイクが薄いために感染者の表情を把握することができ、友人たちの前で凶暴性を抑えようとするダフィたちの苦悶の様子が存分に伝わってくるのも、作中にカタルシスを生み出すという点で効果的に作用していた。ただこのメイクが良かったというのに、クライマックスで暴れる感染者たちがマスクを被って顔を隠していたのは残念だった。
またパニック映画としては本作、全般的に演出が薄味で、衝撃的な場面でも盛り上がれないのが辛いところ。蛇口つきのマスクを被っていた男が殺されるとマスクの蛇口から大量の血が流れ出したり、スプリンクラーが突き刺さった男の口から水が流れ出したりと、所々に織り込まれるとぼけたカットは妙な味わいを醸し出していたものの、血みどろな描写は求めていけない作品である。

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