ゴゲリアン 墓場のえじき         「評価 D」
黒魔術師デブロンは精神病院から脱走し、多数の人間を虐殺した挙句に警官隊によって射殺された。彼の遺体は警察の霊安室に保管されていたものの、ハロウィンの晩にオスカルたち青年医師の手によって持ち出され、悪ノリした彼らによって死者復活の儀式に使われてしまったのである。かくしてゾンビとなって蘇ったデブロンはオスカルらを虐殺した後、自ら魔術を駆使して墓場に眠る死体たちを次々と蘇らせていく。彼らを封印するには、オスカルたちが儀式に使用した書物「黒い本」を燃やすしかない。ゾンビの群れが発生したことを知った精神科医のカルダンは、その場に居合わせた子供たちと共に黒い本を探して墓場の中を奔走する…。
「ミミズ・バーガー」で有名なミミビデオ配給によるオカルトゾンビ映画。前半は蘇生したデブロンがオスカルたちを一人ずつ抹殺していく殺人鬼ホラー風、後半は子供たちがゾンビの大群から逃げ回るパニックホラー風と、二つの異なったコンセプトで楽しませてくれる。しかしこの意図が災いしてか、作品全体が随分と煩雑な構成になっていたのは残念だった。映画は序盤のうちから、カルダンとオスカルたちと町の子供たちと、三つの視点が交錯する形で進行していく。これが徐々に一つの視点へと纏まっていくのだが、本作ではオスカルたちが中盤で虐殺された後に子供たちがゾンビの群れに遭遇し、そしてカルダンが偶然墓場で騒いでいる子供を見つける──と纏まり方がいまいちスムーズでなく、結果として構成のゴチャゴチャ感だけが気に留まってしまうのだ。
またこの映画、イタリアが製作に関わっているものの、ゴアシーンにおける演出は全般的に恐怖感に欠けるものが多く、些か物足りなさを覚える。しかしそんな中でただ一箇所、デブロンが腹に突き刺した手を引き抜くと指先から内臓がボタボタ零れ落ちていくカットだけは、影の使い方といい血肉が滴り落ちるタイミングといい申し分なく、強く印象に残る出来だった。

TOP PAGEへ