スキゾイド 「評価 C」
精神科医フェイルズの自宅で集団カウンセリングを受けている、数人の男女たち。性格も職業もバラバラな彼らが、相次いで殺害されるという事件が発生した。被害者は皆ハサミで体をメッタ刺しにされており、どうやら同一犯による犯行の模様。またそれに前後して、同じくカウンセリングを受けている新聞記者ジュリーの元には、殺害予告とも取れる文面の手紙が何枚か届いていた。そこで警察はこれらの手紙を出した人物こそが事件の犯人ではないかと推測し、送り主の割り出しに躍起になった。だがそんな中、フェイルズ博士は机の下に落ちていた紙切れから、実娘のアリスンが例の手紙を送っていたことを知ってしまった。母親を早くに亡くしたアリスンは、フェイルズとジュリーが治療中に仲良くしているのが我慢ならなかったのだ。フェイルズは娘に事件への関与を問いただすが、逆上したアリスンはピストルを持って逃亡。憎きジュリーのいる場所へと車を走らせた…。
ハサミを持った殺人鬼が人々を襲うサイコスリラー。ジュリーは結婚している身でありながらフェイルズと不倫、一方でフェイルズはアリスンを実娘として以上に溺愛──と主要人物の人間関係が昼メロのごとく泥沼化しており、猟奇的ムードを否が応にも醸し出す。特に映画の中盤、フェイルズがアリスンの脱衣を嫌らしい目で見つめながら彼女と会話する場面は、クラウス・キンスキーの怪演によって変態さにおいては出色の出来となっていた。ドロドロした人間関係が好きな人ならば堪らないものがある作品だ。
ただサイコスリラーとしては本作、真犯人の犯行動機に矛盾が存在するのが気に掛かる。また恐怖場面における演出も、冒頭の自転車を車で追い回すシーンこそ緊迫感に満ちていたが、その後は低調気味でどうにもパッとしなかった。
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