D.N.A.X              「評価 C」
海辺の小さな町は、漁業会社と若者たちとの対立の渦中にあった。漁業会社ではより大きい魚を獲るために海にホルモン剤を流しており、それが水質を汚染していたのだ。若者はそのことを非難し続け、一方で会社は無視を決め込んでいる。そんな中で会社側の人間であるウエイドは、娘のキムが抗議活動を行っている若者マットと付き合っていることで頭を悩ませていた。そしてある日、事件は発生する。キムがマットたちと海で遊んでいた時、遺伝子操作によって誕生した半魚人の群れが出現。マットの友人たちは半魚人の怪力によって殺され、キムは彼らの繁殖用として巣窟へ連れ去られていった。ただ一人無事で済んだマットは怪物に襲われたと証言するが、当然ウエイドたちは信じてくれない。だがしばらくして、ウエイドも半魚人の姿を目撃したことによって彼の話を信じるようになり、マットと協力して怪物退治に乗り出したのである…。
80年代にロジャー・コーマンが製作したエロ鮭人間大暴れ映画、「モンスター・パニック」のリメイク作。本作の半魚人は政府が極秘が開発したものと設定が一新され、「ザ・グリード」のロブ・ボッテンがデザインしたその姿も、背びれが大きくなり、目が左右に大きく離れ、一段と魚らしさを感じさせるモノに変わっていた。また「モンスター・パニック」では鮭人間たちが美女を強姦する様子がコーマン流のサービス精神に基づいてモロに描写されていたが、本作において連れ去られた女性はブヨブヨした肉袋に閉じ込められるだけで、具体的な生殖シーンは一切省かれている。その他にもカップルの情交場面の削除など、オリジナルのエログロ色を薄める改変がなされており、より万人向けな内容となっていたのである。
しかし「モンスター・パニック」は鮭人間の変態さとカップルのエロシーンだけで引っ張っていたような内容だったので、それを排除するとなると別の売り物を用意する必要がある。そこで本作では、半魚人の設定&デザインの一新と、ストーリーの複雑化が行われていたのである。その内、半魚人の設定については元が元だったので向上しているように感じられたし、デザインの方もグロテスクながら魚っぽさが強調され、オリジナルを越えていると言えた。ただ、ストーリーの改変だけはいただけなかった。「モンスター・パニック」の脚本自体がボロボロだというのに、更に政府を絡めて複雑化したことによって一層収拾がつかなくなっていたのだ。登場人物の放ったらかし具合は前作以上で、悪事を働いた会社側の人間がそのまま野放しという酷い展開に。またクライマックスの鮭祭りの場面も、ウエイドたちは半魚人に襲われている一般市民をまるで助けようとはせずに一匹の半魚人を追い回すばかりで、どうも見ていて感じが悪い。リメイクを作るにしても、ストーリーの練り直しをきちんとして欲しかったところだ。
(それにしても「D.N.A.」シリーズはWもXもコーマン作品のリメイクだった。これは何かの偶然だろうか)

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