ゾンビ・怨霊の墓場        「評価 D」
1955年、元ウェイトレスの女性レノーラは時折発生する幻聴や幻覚に悩まされていた。彼女はその原因を突き止めるべく、途中で知り合った青年キャムと共に、幻覚の導く先を目指して旅を続けていたのである。そして何者かに乗り移られたりしながら、彼女たちは森の中の小さな墓地へと辿り着く。そこにはアーロンと名乗る青年が待ち構えており、彼女に到底信じられないことを告げてきた。時は今から80年前、錬金術師デルガトーがアーロンの妻・アンナを我が物にせんとしたことから始まる。呪いをかけてアンナを操ろうとしたデルガトーだが、アーロンはそれを阻止せんとアンナを自らの手で刺し殺した。すると怒り狂ったデルガトーはアーロンに呪いをかけ、彼を永遠に老いることのない体にしてしまったのである。そしてレノーラはアンナに瓜二つだそうで、異世界に身を隠していたデルカドーが呪いの力を用いて彼女をこの地に導いたというのだ。キャムはアーロンの話が当然信じられず、レノーラを連れて帰ろうとした。ところがそこに、デルガトーが放ったゾンビの群れが襲い掛かってきた…。
「パペット・マスター」や「ホムンクルス 新種誕生」などで知られるチャールズ・バンドが80年に製作したオカルト映画。アンナとレノーラを巡る三人の男の戦いを主軸にした愛憎劇となっているが、構成や脚本に不備が多すぎるのがとにかく厳しかった。作中で何度か挿入される車での移動シーンが必要以上に長く、尺を水増ししているようにしか見えない。アーロンは呪いをかけられた際に「死ぬまで獲物を求め続けるのだ」などと不吉なことを言われた割には別に異常性を垣間見せたりはせず、また不死であることに苦しんでいる素振りも見せないので、彼の呪いを解こうと躍起になっている娘の姿が異様に空しく感じられる。そしてゾンビ軍団は襲撃シーンがワンパターンの上、普通の人間の攻撃であっという間に倒されてしまう程度の存在で、如何にも「出しただけ」感が漂っていた。呪いの解けたアーロンの体がドロドロに解けていく場面での特殊メイクは見事な出来だったが、それくらいしか見所のない作品である。

TOP PAGEへ