ヴァンパイア侍              「評価 B」
遥か昔、ルーマニアの吸血鬼軍団が日本を襲撃してきたことがあった。彼らの力は絶大で、立ち向かっていったニンジャやサムライたちも尽く返り討ちに遭い、吸血鬼へと変えられていく。ところがそんな中で、一人だけ吸血鬼に襲われながらも吸血鬼化を免れていた女がいた。彼女の名前はシラ。サムライのヨシを夫に持ち、自身も武芸も嗜んでいる西洋人女性だ。彼女は吸血鬼に噛まれた際、「このまま彼らの同胞になるくらいだったら死んでやる」とハラキリを敢行。そのおかげで吸血鬼化が半分の段階でストップし、日光の下でも生活ができる新種のヴァンパイア「デイウォーカー」として生まれ変わったのである。息を吹き返したシラは夫の死を知り、剣の達人ケンジのもとで厳しい修行を積んだ。それから数百年後の現代、シラはロサンゼルスに渡り、アッシュら人間の仲間たちと共にヴァンパイア・ハンターの組織を結成していた。いつものように吸血鬼との戦いに明け暮れていた彼女だったが、ある日クリストフ・ブラソフと名乗る吸血鬼が仲間を増やして勢力を広げているとの情報が入ってきた。彼こそは数百年前に日本を襲撃した吸血鬼一味の筆頭であり、シラが長年捜し求めていた相手。シラは彼らの組織に対して闘志を燃やすものの、組織の中には吸血鬼化した元師匠ケンジの姿があった…。
アルバトロス・コアが燦然と世に放つ、「ブレイド」からの影響受けまくりなヴァンパイア・アクション映画。マーシャルアーツとヴァンパイアとの取り合わせと言ったら、つい最近「ヴァンパイアX」という作品が出たばかりだが、アクション映画としての出来は本作の方に軍配が上がる。本作は何と言っても各アクションシーンにスピード感があり、製作側にちゃんとした殺陣の指導をしてくれる人がいたことを窺わせてくれるのだ。この点だけでも「ヴァンパイアX」とは大違いであった。
また映画の三分の一は日本を舞台に進行するので、インチキ日本が好きな人には堪らないシーンがゴロゴロ出てくるのも本作の魅力。鎧を纏ったサムライが忍者走りをしているわ、数百年前のくせに橋がコンクリートで出来ているわ、屋敷の庭先には熱帯のものと思しき植物が群生しているわと、80〜90年代に量産されたニンジャ映画のテイストがモロに凝縮されているのである。しかし中には剣の稽古を受けるシーンなど、現実に驚くほど忠実な描写が垣間見えたりするから侮れない(当時の日本で今の剣道と同じ稽古が行われているはずが無いというツッコミは置いといて)。
数百年前のヴァンパイアの襲撃はどうして終わったんだよとか、「キタノの書」って結局なんだったんだよとか、明かされていない謎が多すぎるのは気になったが、B級魂溢れる内容には賞賛を送らずにはいられない作品だった。

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