バトルストーム            「評価 C」
ラオスのジャングルを、金塊を積んだ装甲車が走っていた。この金塊はアメリカ人の捕虜たちと交換するための大切な品。ところが悪党スレイター率いる強盗団が現れ、金塊の入った金庫が奪われてしまった。そこでアメリカ政府は金塊と捕虜の奪回のため、グリーンベレーのモス大尉をジャングルに派遣したのである。戦闘のエキスパートを集め、スレイターのアジトを目指すモス。その頃スレイターは、金庫を開けて中身を奪い取ろうとしていた。ところがこの金庫、チタニウムで作られているので、爆弾を使ってもまるで壊れる気配が無い。業を煮やしながらも、やがて迫り来る敵の影を感じ取ったスレイターは、部下に命じて近場の洞窟へ金庫を隠すことにした。金庫を担ぎ、洞窟の中を進む強盗団。しかしそこには、想像の絶する光景が広がっていた。戦争が終わったことを知らない日本兵数十名が、銃剣を構えて稽古に励んでいたのである…。
80年代に星の数ほど作られた軍隊映画の中でも、日本人にとってのインパクトでは群を抜いている作品。最初の四十分ぐらいは展開がだるくてアクションシーンの迫力にも乏しい平凡なコマンド映画であるが、日本兵のアジトが画面に映った瞬間から作品は悶絶必至のコメディ映画へと一変した。広間奥に堂々と掲げられた日の丸。下手な字で「天皇陛下万歳」「彷徨千里不退転」と書かれた垂れ幕。白装束に黒帯を締め、頭に日の丸鉢巻を巻いた日本兵たち。「ハイー!」「バガヤーロ!」ぐらいしかまともに聞き取れない彼らの日本語。これだけでも十分に噴飯物だというのに、アジトの裏には何故か現役稼動するゼロ戦まで隠されており、クライマックスの戦いでは武装ヘリに対して神風特攻をしかける。更に終戦を知らずに80年代まで生きてきた日本兵のくせに、みんな二十代か三十代ぐらいにしか見えないときては、その大雑把ぶりに感動の嵐。テキトーすぎる日本兵の描写にひっくり返らずにはいられない映画だった。

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