殺人蜂 キラー・ビー 「評価 D」
夏の休暇を利用し、閉鎖されたスキー場へキャンプにやってきたジュンコたち8人。初めは互いにふざけ合ったりして休暇をエンジョイしていた彼女らだったが、花畑を見つけたマキコが何の気なしに花を摘んだことから、惨劇は始まってしまった。長い間花畑を守り続けていた狂暴なスズメバチの群れが、これを契機に彼女たちに一斉に襲い掛かってきたのである。蜂の毒にやられ、アナフィラキシーの症状を起こして次々と命を落としていく女性たち。一晩明けて生き残った女の子たちは、スズメバチの包囲を掻い潜って山からの脱出を図るが…。
キャンプに来た若者たちが蜂の群れに襲われるという、まんまアメリカのB級パニック的なノリの日本映画。主役のスズメバチたちはVFXこそ稚拙ではあるが、炎だろうが何だろうが関係無しに光源に突っ込んでいき、勝手に炎に飛び込んで自滅していく姿にガッツを感じずにはいられなかった。ただ「キラー・バグズ」や「リーサルレギオン」など、近年どんどん「ハッタリ効かせて何ぼのモン」といった傾向が強くなっている本場アメリカの蜂映画に比べると、地味な印象を受けてしまうのは残念なところ。
そして脚本と演出については、今一つパニック映画に作り慣れていない雰囲気が付き纏っていた。外部とは連絡がとれない、単独行動をとった人間から順番に襲われる、「すぐ戻る」と言った人間は助からない、とこれでもかと言う位にお約束事を盛り込んでいる脚本はどう見てもギャグそのものだし、登場人物が手入れされていない森の中で簡単に火をつけすぎで、いつ山火事が起こってもおかしくないのは考えもの。また山道を歩き終えてキャンプ地の平原に辿り着くシーンでは、草木のアップショットの後に、平原で目的地に着いたことを実感する女の子たちの姿を真横のアングルから映しているせいで、場所の広さがどうにも感じられない──といったように、カメラワークの不自然さも目立つ作品だった。
しかしパニック映画好きとしては、日本でこんな映画が作られたということが何よりも嬉しかったりする。日本では需要がないからか、こういったマイクロスケールで発展するパニック映画は殆ど作られることが無い。作品自体の出来はあまり誉められたものではなかったが、本作をきっかけに少しでも和製パニック映画が作られる下地が築かれてくれないかと密かに願うのである。
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